先日、当園の園舎を設計されたアトリエ9建築研究所の呉屋先生のお誘いを受けて、株式会社ジャクエツ主催「こども環境サミット」で、先生と新園舎について、少しだけお話しをさせていただきました。園舎の建て替え構想から計画、実行に至るまで、振り返る貴重な機会となりました。
園舎を建て替えるにあたって大事にしたことは、大きく2つあります。
一つ目は、「お寺」が起源の園であること。
今は、「お墓参り」や「お葬式」のイメージが強いお寺かもしれませんが、昔は地域のコミュニティの中心として地域に開かれていたのがお寺です。誰かがお亡くなりになってから行くところではなく、生きているころから当たり前のように関わる場所だったのです。
お寺が地域コミュニティの中心であるなら、お寺が起源の園も地域に開かれた園でありたい。園単体で完結させるのではなく、お寺・園を核とした周辺地域をデザインしていくべきである。そういった考えが根底にあり、新園舎づくりの出発点となったわけです。
二つ目は、子どもたちと地域を繋ぐこと。
この園舎は「地域で子どもたちを守り育てる」をコンセプトの一つとしております。
地域と園の垣根をあえて無くした設計により、地域との様々な相乗効果を生み出すこと期待しました。地域に見守られることは子どもたちに安心感を与え、子どもたちの笑顔や元気な声は、震災後大きく変容するまちに活力を与えます。
また、園舎のデザインはシルバーで統一し、あえて無機質にしました。園舎にさまざまな色を付けるのは子どもたちであり、そこで働く大人や地域の方々であり、園舎の存在を出来るだけ「消す」ことを大事にしたからです。
認定こども園移行、そして、新園舎建設から早1年。
こども園としての役割をまずしっかりと果たしていくことはもちろんですが、こども園としての機能以外にも、英語・体操等の習い事の他、音楽会や講演会等、子どもたちと地域の方々が人生を生き生きと楽しめる。子どもたちと地域が積極的にかかわり、互いの価値を交換し合える。
お寺を含めて、そんな場所・環境を創っていきたいと思います。