さる12月17日、九品寺附属平窪幼稚園・くほんじひらくぼ保育園におきまして、様々な地域づくりのアクションを応援しようというプレゼンイベント「ハマコン」が開催されました。今回は、台風19号水害の被災地で復興プロジェクトを始めようとしている4組が参加し、私、遠藤弘道も参加させていただき、園を地域の防災拠点に、というテーマでプレゼンをさせていただきました。
皆様もご存知のように、当園は、台風19号により甚大な被害を受け、まだ復旧工事の途上にあります。様々な制度などを利用し、なんとか被災した1階部分を「復旧」する工事が始まりましたが、国の災害復旧制度はあくまで「復旧」に限られ、例えば被災前が和式のトイレだったところは和式のまま復旧しなければ補助が下りない、というようなものになっています。
もちろん、園児たちの環境を取り戻すために「復旧」を急いでおりますが、昨今の地球温暖化による異常気象や気候変動を見ましても、たとえ元どおりに復旧したとしても、また同じような水害に見舞われないという保証はなく、地域の全体の課題が解決されたわけではありません。また悲劇を繰り返さないためにも、災害に強い園を志したアップデートが必要だと考えております。
そこで私たちが思い至ったのが、園の2階部分を「地域の防災拠点」としてリノベーションするというアイデアです。今回の水害では、平窪地区の避難場所の少なさや、情報伝達の脆弱さが浮き彫りとなりました。しかし、新たに集会所を作るのには大変なコストもかかりますし、集会所を整備しても、そもそもの地域のつながりがなければ、拠点を活用することも難しくなってしまいます。
地域の防災のためには、平素からその場所が地域に開かれ、様々な世代の人たちが集う場所であることが重要です。そう考えると、私たちの園は、子どもたち、親たちが集まりますし、場合によって祖父母の皆さんもお子さんの見送りやお迎えにいらっしゃるという利点がすでにあり、駐車場やお遊戯室など、ある程度の人数を受け入れられる広さもあります。
園教育のなかに防災を取り入れるとともに、平窪幼稚園・保育園全体を、地域の人たちが集う公民館のように開き、多世代の交流を促しながら、2階部分に防災食や最低限の寝具、貯水槽など整備することで、いざという時には避難場所として活用する。そんな園ができたら、園児だけでなく地域の皆様に必要とされる園になり、またそこに集まる防災のノウハウは、全国各地の防災に役立てることができるはずです。
そこで今回、ハマコンに参加させていただき、皆さまを前にアイデアを発表することになったわけですが、皆さんからも大変面白いアイデアをたくさん頂くことができました。例えば「2階のお遊戯室でお泊まりキャンプをしてみる」、「保護者と一緒に防災グルメグランプリを決める」、「運動に防災を取り入れる」、「園のバスを使って地域の高齢者に使ってもらう」など、様々なアイデアを頂戴しました。普段の園教育からは想像もつかないような新鮮なものばかりで、大変参考になりました。
そして、それらのプロジェクトを推進していく「地域協働室」のようなものが必要だという結論になり、このたび、皆さんからネーミングも頂戴し、地域防災の推進プロジェクトとして「開く防プロジェクト(仮)」を立ち上げることになりました。「防災教育」を平窪という地区に広げ、幼稚園・保育園を地域に開いていくという意味で「開く防(ひらくぼ)」となりました。
今後、様々な専門家の皆さんの知見を頂戴しながら、2階部分の整備、設計アイデアの集約、様々な防災プログラムの実施、地域の皆さんとの協働を推進していきたいと思います。その過程で、今はまだダジャレ感の強いプロジェクト名も、地域防災のイメージが広がるふさわしいものへとアップデートできればと考えております。まずは「開く防プロジェクト」をよろしくお願いいたします。
また、この地域防災の動きをより具体的なものにしていくため、今後、クラウドファンドなどの実施も考えております。どうぞ皆さま、当法人の防災への取り組みにご支援賜りますようお願い申し上げます!!